衆議院議員 静岡県第7選挙区城内 実

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◎ 政 治 ◎ TPPに関する質問主意書

2011.12.12 ピックアップ

 会期末を前に先日、TPPについて政府に質問主意書を提出した。議論がまったく見えてこない非関税障壁に関わる質問が中心である。以下に掲載したので、是非ご一読いただきたい。なお、答弁書は16日の金曜日に返ってくるとのこと。またこのブログでご紹介させていただく。
 
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TPPに関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
  
平成二十三年十二月七日
           
提出者  城 内  実
 
衆議院議長 横 路 孝 弘 殿
TPPに関する質問主意書
 
 TPP交渉の参加国である米国通商代表部(USTR)のロン・カーク代表が「アメリカは雇用や成長などのためにTPPを必要としている」と述べたと報じられた(「日本経済新聞」十月二十七日)。USTRは、毎年「外国貿易障壁報告書」を公表しているが、同報告書に記載される米国にとってのわが国の「貿易障壁」は、TPP協定交渉において設けられた二十四の作業項目の多くと重なる点で、今後の交渉の展開を検討するうえではきわめて示唆に富む。
 また、わが国がTPP交渉に仮に参加したとして、わが国を含め参加する十カ国のGDPを合計したとき、日米両国でその九割以上を占める。よって、巷間TPPは実質的に「日米FTA」であるとの指摘があるが、常識的に考えても、わが国がTPPに仮に参加した場合、米国にとっての最大の関心国はわが国である。
以上の点から、今後わが国が交渉に参加した場合、USTRの報告書等でわが国の「貿易障壁」として挙げられる事項に関する米国側の要求が、参加協議においても議題になる蓋然性はきわめて高いものと考える。さらには、米国が雇用創出の手段としてTPPを重視している以上、わが国がTPPに参加することにより、わが国の市場が米国の雇用創出のための草刈り場となることを強く懸念する。こういった点は、多くの論者からすでに指摘されているところであるが、にもかかわらず、これらの懸念、そして交渉自体へのわが国政府の方針は多くの点で判然としない。
そこで以下、質問する。
 
一、 前掲「外国貿易障壁報告書」の本年版(外務省作成の仮訳版を参照した)の「医療サービス」の項目において、「厳格な規制によって、外国事業者を含む営利企業が包括的サービスを行う営利病院を提供する可能性等、医療サービス市場への外国アクセスが制限されている」との言及がある。今後の参加交渉において、営利企業がわが国における病院経営等に参画することを要求された場合、いかに政府として対応する方針であるのか示されたい。
 
二、 同じく医療サービスについて、混合診療を禁止する現行の政策について、最高裁判所が十月二十五日に適法との判断を示した。TPPは条約であるから、その条約に含まれる条項は国内法規に優越するが、十一月七日、外務省は「混合診療の全面解禁がTPPで議論される可能性は排除されない」とした。TPP交渉過程で全面解禁を求められる可能性について、認識を示されたい。
 
三、 二に関連して、わが国およびわが国国民にとって混合診療が導入されることには、新薬や先端医療を自由に利用できるようになるとのメリットが指摘されている。他方で、これらは保険適用外とされるために非常に高額になり一般国民には利用できず、結果として深刻な医療格差を生じせしめるなどデメリットのほうが遥かに大きいことが指摘されるところである。政府として、混合診療のメリットとデメリットをどう捉えているかお示しいただきたい。
 
四、 同じく本年版「外国貿易障壁報告書」において、米国は「日本郵政グループと民間セクターとの間に対等な競争条件を確立すること」をわが国に求めつつ、「対等な競争条件が確立される前に、日本郵政グループの金融機関の業務範囲拡大を日本政府が認めないよう、引き続き求める」としている。日本郵政グループの金融機関とは、株式会社ゆうちょ銀行と株式会社かんぽ生命保険を指すが、郵政改革法案においては両社(名称変更を伴う)が新規事業に参入する際の規制の緩和が織り込まれている。上記の米国の要求事項とわが国郵政改革法案における規制緩和事項とは整合しないことが明らかである。TPPは国際条約であり、憲法以外の国内法規の上位に位置づけられるが、TPPへの交渉過程において、その参加条件に郵政改革法案に定められる内容が抵触した場合、TPPへの参加を断念するのか、あるいは郵政改革法案を修正または廃案にするのか、対応について示されたい。
 
五、 四に関連して、本年の「日米経済調和対話」における米国側関心事項の「保険」の項目において、米国はわが国共済制度について、「共済と民間競合会社の間で、規制面での同一の待遇および執行を含む対等な競争条件を確保する」ことを要求している。TPP参加交渉の過程で、営利目的でない補償制度として、法人税が優遇され、かつ少ない掛け金で多い割戻金を得ることのできるわが国共済制度に対し、民間と対等の競争条件への是正ないし廃止を求められる可能性について、認識しているか。認識している場合、前述の要求を受けた場合、いかなる対応をするのか示されたい。
 
六、 野田佳彦総理大臣は、十一月十五日の参議院予算委員会において、協議の結果によってはTPPに参加しない選択肢もあるのかという旨の自由民主党の山本一太議員の質問に対して、「国益を損ねてまで交渉参加するということは、それはない」と答弁した。野田総理のいう「国益」とは具体的に何を指すのか示されたい。
 
七、 TPPは環太平洋連携協定と訳語が付されるが、「T」は“Trans”の略語である。“Trans”は本来「横断」といった意味であり、「環」という意味合いは持たない。「環太平洋」とは本来、“Pan-Pacific”の訳語として適当であると思われるが、TPPをあえて「環太平洋連携協定」と訳した理由について示されたい。
 
八、 内閣府の発表では、「TPPに参加すれば十年後の実質GDPが二.七兆円増える」とあるが、どのように計算しているのか、計算根拠となった経済指標、TPP導入にともなう日本の経済社会体制の崩壊をどのように組み込んでいるのか明示されたい。
 
 右質問する。