衆議院議員 静岡県第7選挙区城内 実

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◇ コ ラ ム ◇ 月刊「日本」2月号

2008.01.22 コラム

 今日発売の月刊「日本」二月号に私城内実の文章が掲載された。以下で紹介する。
 タイトル:「改革」か「カイカク」か(前衆議院議員・拓殖大学客員教授 城内実)
 なぜ郵政民営化に反対したのかと今でも地元の支援者に聞かれる。しかし、それも最近ではごく一部で、昨年十月の民営化移行後は、城内実がなぜ政治生命を賭して反対したか大勢の方が理解して下さるようになった。
 私は、現職の国会議員当時に一年生議員として小泉純一郎氏の総裁派閥である森派に所属していた。郵政民営化については全く予備知識もなく、郵政民営化に反対するものは、小泉・竹中改革に反対する族議員や抵抗勢力と信じていた。
 ところが、ちょうど当選後一年たった、今から三年前のある時に、二期生の先輩議員Kさんから郵政問題の秘密の勉強会があるから参加しないかと誘われた。私は、安倍晋三幹事長代理(当時)から、なぜか大勢一年生議員がいるにもかかわらず、さまざまな議連や勉強会、党改革本部の事務局長や事務局次長を直接頼まれたので、既定路線の郵政民営化問題については、時間的な余裕がないと言って丁重に断った。
 それにもかかわらず、三顧の礼で一年生議員の威勢の良い仲間を連れて勉強会に参加してくれと言われた。しかたなく、同期のF君やE君、同じ派閥のM君などを誘った。その時はまさか、私をこの郵政勉強会に私を勧誘したKさんが本会議での投票前日までテレビの前で反対のシュプレッヒコールをあげながら、当日の本会議場でまさかの賛成票を投じるとは思いもよらなかった。運命とはおもしろいもので、私がK先輩から言われて、誘った三名の内、二名はみごとに反対票を投じ、残る森派(当時)のM氏は父親から投票直前に説得されてやむなく賛成票を投じ、泣いて我々に詫びた。
 私は、自分で言うのもなんであるが、郵政民営化問題を一般の自民党の国会議員よりもはるかに多くの時間をかけて勉強した。百歩譲って郵政を民営化するにしても、なぜ旧電電公社や国鉄のように、三事業一体で東西南北に分けて民営化できなかったのか。それは、友人の関岡英之氏がこれまで何度も指摘したように、アメリカの年次改革要望書のみならず、アメリカの某勢力が積極的に日本の郵貯、簡保合わせての約350兆近くを手中におさめようとしたからである。郵便事業は構造的な赤字であるから、赤字部門は切り離して一番美味しい簡保と郵貯資金を運用させてくれと言うことである。
 郵政が完全民営化すれば、国民は郵政問題について全くコントロールできなくなる。なぜならば、民営化すれば、郵便料金を上げる下げるとかサービスをどうするかは、いみじくも竹中平蔵大臣(当時)が国会で何度も答弁したように、あくまでも「経営者が判断」することであって民営化された郵政会社の大株主か経営者でない限り一般の国民は口出し出来ないのである。私なら、国民の共有の財産である350兆円を利回りの良い外国に投資(=戦費)するよりも、日本国民の健康や福祉、道路や学校教育、環境保全に投資する。
 大衆迎合的な「官から民へ」、「改革を止めるな」という単純なワンフレーズを聞くにつけ、私がこれまでの人生で約十年間生活した第二の故郷のドイツを思い出す。戦前のドイツは一九三三年一月末にアドルフ・ヒトラーがフォン・パーペン元首相やメディア王のフーゲンベルクらと協働して連立政権の首相に就任した。その後、全権委任法の導入などや古くからの同志のエルンスト・レーム、シュライヒャー前首相などの暗殺、ヒンデンブルク大統領の死去を通じて総統という独裁者の地位にのぼりつめた。ナチス政権がまがりなりにも十三年間も持ちこたえたのは、改革の成果は全てナチスのおかげ、うまくいかない改革は全て「抵抗勢力」のユダヤ人のせいにしたからである。いんちきな「構造カイカク路線」と同じ手法である。
 私城内実が徹底的につぶされた理由は、某政権中枢から頼まれて出来レースの人権擁護法案(=人権侵害糾弾「特高」法案)に徹底的に反対したことと、郵政米営化売国法案に本会議の採決で一番はじめに青票(=反対票)を投じたからである。また、平成十七年六月七日の郵政民営化特別委員会において竹中大臣(当時)に対して、「郵政民営化について日本は米国と過去一年間に何回協議したか。」と一番触れられたくないことを質問したこととも関係している(答:十七回)。
 私は最近、構造カイカク路線のことを、オウム真理教やイスラム原理主義をもじって、「カイカク真理教」、「カイカク原理主義」と呼ぶことにしている。無辜の民に「カイカク、カイカク」とお題目を唱えさせて、お布施(=国民負担)をふんだくる怪しい新興宗教と同じ手法だからである。関岡英之氏などは英語で「改革」のことを「reform(=リフォーム)」というので、「リフォーム詐欺」と名付けた。
 いずれにせよ、二十一世紀は、これまでの行き過ぎたモノ、カネ、パワー、軍事力中心の物質文明から、心、たましい、健康、人と人との信頼関係、家族愛、郷土愛、世界人類の平和、地球環境といった目に見えないもの、市場原理主義では説明できないものがより尊重される時代となろう。日本古来の共存共栄、共生、和の精神を今こそ見直すべきである。