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農村文化

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 今日は地元の農協に勤めながら引佐町久留米木の棚田でお米を作っているSさんと二人だけで夕食をともにした。このSさんとの出会いは旧天竜市の「懐山のおくない」という五穀豊穣の祭りに参加したのが最初である。私もSさんも、何百年もその地域で続いている田楽をこよなく愛している。お互い誘い合うこともなく、その種の行事に参加するといつも顔を合わせる「常連」である。
 ただ今年の二月の水窪町の「西浦田楽」には私の方からお願いして車に乗せて頂き、連れて行ってもらった。自宅から車で一時間半近くかかる山あいの町についたのは午後10時ころであった。この田楽は夕方からはじまり、明け方まで続く。それこそ体力勝負の本格的な祭りである。昨年も西浦田楽を見に行ったがさすがに朝まではいなかった。が、今年は途中数時間ばかり車の中で仮眠して日が昇る朝7時から8時半頃の最後までいた。朝の光を浴びながら、向こうの山からこだまがきこえてくる。都会では味わうことのない幻想の世界、はたまた神々の世界に導かれたのであった。今年の西浦田楽には元東大総長で文部科学大臣をされた有馬朗人先生が自身の俳句の会のメンバーを引き連れて見学に来られていたのには驚いた。
 水窪町が浜松市に合併したことから、もっと旧浜松市から見物に来るかと思ったが意外に少なかった。現代の軽佻浮薄な風潮とは全く別の世界にあるのがこの種の伝統文化行事である。市場原理主義に染まった現代人の多くはこうしたありがたい土着の文化に対する感覚が麻痺していると思えてならない。それはもったいないことである。
 Sさんは自ら農業を営みながら農村や田楽の写真をとり続けている。このSさんの写真から不思議なことにその地域や行事のにおい、音、温度が伝わってくる。ご自身が農業に携わっているからこそ、それだけリアリズムあふれた感動的な写真になるのであろう。
 Sさんの写真集を是非世に出したい。自然と共生する本来の日本人の原点に帰るきっかけとなると信じている。
                              4月17日(月)


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